web版 家具のお手入れ講座

家具のお手入れ講座

家具だってメンテナンスが必要です。
上手に手入れして長く使いたいものですね。

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このコーナーでは、家具のお手入れと修理の方法を講義していきます。なお、以下にあげているものは、あくまで一般論ですので、お手入れが上手く出来る保証はできません。難しい、と思ったら、下手にやらないほうが無難です。ここに紹介されていないこと、不明な点は、掲示板上にてご質問ください。電話でのお問い合わせはご遠慮願います。

ソファー

牛皮革張りの場合

普段は乾いた布(できればウール)などで乾拭き。
1シーズンに1回程度、皮革専用クリーナーで拭く。これを怠ると、ひび割れがして、通常、丁寧に使えば10年以上使えるものが、5年くらいで皮の表面がひび割れてしまう。皮革専用クリーナーは、ムースタイプ(スプレータイプ)のものより、水性の液状のもの(ボトル入り)がオススメ。
ポリウレタン塗装の皮革の場合(国産家具の多くの場合はこの塗装の皮革)、ハイテクたわし(激落ち君など)で汚れを落とすことは可能。ただし、必ずすぐに乾拭きして水分を取ること、あとで油分を補給してやることが必要なので、汚れのひどい箇所にピンポイント的に行うのがベスト。また、この方法では皮革を痛めたり、ふやけたようになってしまう場合があるので、比較的目立たない部分(ただし、国産の多くは半皮といって背の後ろや肘の横、足元は合成皮革なので注意)で試してから行うこと。オイル仕上げ、渋皮仕上げなどの場合は不可。
皮革は基本的に薬品に弱いので、皮専用のクリーナー以外のものは絶対に使わないこと。まれに靴墨を使えばいいと思っている人もいるが、これは不可。また、除光液など強い薬品をこぼしてしまた場合は復元不能。張替え以外に方法は無い。(張替えの場合は、部分張替え可能な場合もあるが、通常全張替えとなる。この場合、定価の7割~定価と同額程度かかる)
コーヒーなどをこぼした場合は、直後なら乾いた布で拭けば問題ない。ふき取った後、クリーナーで仕上げる。炭酸飲料などの場合は痕が残る場合もある。
ソファーの設置場所は、直接日光の当たらない、直接、冷暖房の風が当たらない場所に設置するのが望ましい。湿気も厳禁。カビが生えた場合は、逆性石鹸(薬用石鹸の一種)で落として、乾拭き。

ソフトレザーの場合

ソフトレザーとは、天然皮革の風合いを持たせた、一般的に肌触りを重視した合成皮革。業界で一般に呼ばれる合成皮革はいわゆる塩化ビニルレザーのこと。ソフトレザーは、一般に塩化ビニルレザーに比べて通気性がある。皮革とソフトレザーの見分け方は、高価なものでなければ(長椅子で10万円以下)、縫い目の多さで分かる。縫い目の多いものが皮革。また、指先で表面を押した場合に、指を中心として細かいシワができるのが皮革。合成皮革とソフトレザーの見分け方は、つやがあるのは一般的に合成皮革と思ってもらっていい。また、合成皮革のほうが妙に硬い。合成皮革、ソフトレザーとも、布に塗膜を張ったものである。
お手入れは、中性洗剤を薄めたものを含ませて固く絞った雑巾で拭き、仕上げに乾拭き。この際、やはりベンジンやシンナーは使えない。ハイテクたわしは概ね使えると思ってよいが、目立たない部分で試してみたほうが無難。ただし、ソフトレザーの場合も、皮革の半皮の様に、一部合成皮革の場合がある。コラーゲンレザー(プロテインレザー)など、牛皮革に似た成分のソフトレザーを含め、皮革用クリーナーで拭いても良い場合もある。

合成皮革の場合

購入価格が長椅子で1~4万円程度のものに多い。ソフトレザーと違って、通気性が無いので、長時間素足で座っていると、汗でベタベタすることが多い。
お手入れの方法は、ソフトレザーに同じ。

布の場合

皮革などよりも意匠性(デザイン性)が高く、手触りも良い。しかし、汚れが付きやすい(綿製品が多い)ので、ある意味、皮革製品より贅沢品。そういった点で、業界関係者は皮革よりも布のほうを好む人も多い。つまり、玄人好み。
コーヒーなどの汚れが付いたら、すぐに乾いた布で、たたくように水分を吸い取る。この際、ゴシゴシ拭いてはいけない(汚れが広がる)。その後、中性洗剤を薄めたものを含ませ固く絞った雑巾で、汚れが広がらないようにして拭く。
普段のお手入れは、ほこりを払う程度。といっても、ほこりも放って置くと、後々目立って全体的に汚れてくるので、これだけでも全然違う。通常、水拭きなどは、できるだけ控えたほうが無難。
カバーリングタイプのソファーで、ウォッシャブルタイプのものは洗濯機で弱洗いができるものもある。肘だけカバーの付いたもので厚手のものなどは、クリーニングに出すのが無難。
布製のものは、どうやっても汚れが付きやすいので、レース地のカバーを掛けるのが無難。

食堂椅子

座や背の表面材

座や背の表面材のお手入れは、上記のソファーの項参照。
座は裏のネジを外せば取り外せる構造のものが多いので、数年に一度、外して隙間の清掃をしても良い。ただし、ネジ山が潰れる恐れがあるので、あまり頻繁には行わないないこと。また、かたい場合は無理にやらず、あきらめたほうが無難。
上記の方法で座を外して、座面を張り替えることも可能。家具修理専門店で5000~15000円くらいが相場(表面財の種類によって異なる)。自分で行うことも可能だが、最初は布でやってみるのが良い。合成皮革や天然皮革はシワにならないように張るのが難しい。その際には、タッカーと呼ばれる、平面に打ちつけるタイプのホッチキスを使う。これはホームセンターで1000円程度から販売しているが、この程度のものでは威力が弱すぎて座板に刺さらない場合が多い。せめて3000~5000円のものが欲しいところ。また、自分でやる場合は、以前からの表面材は剥がしても、剥がさなくても良いが、金巾(かなきん=裏面の黒や白などの薄い布)を一度外してから、表面材を張り、その上でもう一度、金巾を戻す。
高いところにある物を取るとき、ついつい椅子の座の上に乗って取ってしまいますが、これで座が割れて落ちてもPL法の保証対象にはなりません。座の耐荷重は人の体重の85%程度で、しかも面で支えるので、座の中央に立った場合、1点に体重の100%を支えることになり、座板が割れてしまうことがあります。ちなみに座板は5~10mm程度の合板なので、強度の程度は推して測るべしと言えるでしょう。どうしても、という場合は、ちょっと脚を広げて、座枠の上に乗るようにしてください(ちなみに、PL法の保証対象にはなりません)

木部全体

木部のお手入れは、かたく絞った雑巾で拭き、乾拭き。ステンレス、スチールの場合は金属用のクリーナーで拭いてもよいが、研磨剤などは控えたほうが良い。プラスチック、FRP樹脂などどは、汚れがひどい場合は、中性洗剤を薄めたもので拭く。
脚の下にフェルトを付けるとフローリング上で滑りが良く、傷が付かなくて良い。シールタイプ(4脚分程度の大きさで350円前後)と、打ち付けタイプ(1脚分で350円前後)があるが、打ち付けタイプのほうがフェルトが硬く、長持ちし、毛やゴミが付きにくい。カーペットを下に敷く場合は、使用しなくて良い。夏季以外カーペットを敷く場合は、夏季のみ打ち付けタイプのものを使用し、それ以外は外すのが良い。再度、取り付ける場合は、若干位置をずらして取り付けると、抜け落ちることが無い。
オイルフィニッシュ仕上げのもの(無塗装のもの)は水拭きしない。汚れを付きにくくするために専用のオイルを塗る(以下、オイルフィニッシュなど無塗装のものは以下、同じ)。

テーブル

無垢板の場合

角材を1枚以上はぎ合わせたもの(接着したもの)を無垢材と言う(短い角材をいくつもつなげたものを集成材とかフィンガージョイントと呼ぶこともある)。
無垢板は、かたく絞った布で拭き、乾拭きで仕上げる。フローリング用のワックスなどは使用しないこと。また、キズが多くなったり、塗装がはがれたりしたからといって、シンナーで塗料を落として塗り直ししようとする人がいるが、これは素人では絶対にできない(エナメル塗装の場合は、自分でできないこともないが、ステインなど木目が見える塗装はかなり難しい)
無垢板は通常、室内の湿度になじむように多少の水分を含んでいるため、熱い鍋などを直に置くと、塗膜との間に水分が出て白く曇ったようになるので、熱いものを置くときは厚手の鍋敷きを使用する。万が一、白くなってしまった場合は、オキシドールを浸したサラシを一晩敷いておくか、塗れたサラシの上からアイロンをかけるなどの方法があるが、塗装がふやけてはがれてしまう場合もあるので、ほとんどオススメできない。家具店や、メーカーが分かる場合はメーカーに問い合わせたほうが良い。面積が広い場合は、塗り直しを考えたほうが良い。
傷を付けないようにホームセンターなどで売っているメーター売りの薄い透明ビニールシートをかける人がいるが、これはダメ。無垢材は伐採こそされているが、まだ呼吸をしているので、これでは木の呼吸を妨げ、反り(変形)や割れを起こします。傷がつくのが嫌だったら、家具店で売っている無垢板用のフッ素加工ビニールシート(既製品、オーダー品があり、2mm厚で2万円程度)を使用しましょう。これでしたら、木の呼吸を妨げず、化学変化を起こしてベトベトになたりすることもありません。
無垢板だけではなく、塗装された木製品全般について、木製家具用のつや出し剤を用いて磨いても良いが、あまり強くこすると、つやがむらになってしまう恐れがあるので、強くこすらないこと。
傷がついた場合は、ホームセンターなどに売っている、家具用補修ペンが最適です。これは誰でも簡単に使用できます。家具用のクレヨンというのもありますが、これは比較的軟らかいので、キズ隠しとしては最適ですが、実際の使用には、テーブルの天板には適しません(ベタベタになる場合があります)。
テーブルの脚と天板は通常、ビスで固定されていますが、これは半年に1回程度、締め直してください。これが緩んでくると、ビスに荷重がかかりすぎて、ビスの折れや、脚、金物の破損を招きます。六角レンチという、一般家庭にない締め付け工具で閉まっているものが増えてますが、なくした場合は家具屋に問い合わせると、多分、タダでくれると思います。
設置場所は、直射日光を避け、冷暖房の風が直接かからないような場所に設置する。
通常、木製家具の無垢の部分は割れたり反ったりしないように塗装していますが(この点で、無塗装のものは割れや反りが起こりやすい)、木は生きていますので、割れたり反ったりして当然といえば当然です。欧米では無垢の家具を何世代にも渡って使用することが多いですが、当然のように割れがあったりします。たまたま割れたりしても、あまり怒ったりするとみっともないですよ(余談)。

突板の場合

突板とは、木を薄く切ったものを天板表面に貼り付けたものです。芯材は、MDF(繊維合板)や、フラッシュ合板(中が中空になっているもの)が多いです。
無垢板と違い、取り扱いについてさほど気を使う必要はありません。普段は水拭き、乾拭きで手入れしてください。
傷がついた場合は、無垢板と同じように処理してください。ただし、突板そのものがはがれてしまうくらい深く傷がついた場合は、塗り直しが効かない場合もあります。
無垢板と同様、脚金物のネジの締め付けは行ってください。

ステンレス・プラスチックなどの場合

手入れに気を使う必要は、ほとんどありません。プラスチックの場合は、汚れがひどいときは中性洗剤を使ってください。風化した場合は、カッターやヤスリなどなどで表面を削ってしまってもいいでしょう。ステンレスの場合は金属用のクリーナーを使ってください。

チェスト・食器棚・書棚など収納家具

無垢の部分

上記、無垢のテーブルと同様に扱う。キズの場合は、キズ隠し用のクレヨンを使っても、問題はありません。

張り材の部分

よほど高価なものでない限り、側板(横の板)などはプリント紙と呼ばれる、紙に木目などの印刷を施したものです。上質なものは、エンボスシートという、木目に沿って凸凹を付けたものを使っており、これはセロハンテープなどを貼って剥がしても、通常、はがれることはありませんが、プリント紙では剥がれることが多いので注意。はがれた場合は、同色のカッティングシート(木目のものもあります)を貼ると良いでしょう。家具補修用のペンで色を塗っても、もともとが紙ですから、染み込んでしまって、他より濃い色になってしまうことが多いです。
 側板などは、芯はフラッシュ構造といって、中空になっていますから、硬い物をぶつけたりすると割れてへこんでしまいます。へこんだ部分には、同色のプリント合板を貼るか、木工用のパテで埋めてからカッティングシートを貼ると良いでしょう。

引き出し内部

かたく絞った雑巾で拭き、乾拭き、が基本ですが、桐箪笥の場合は水拭き不可。桐は上級なものほど、水分がかかると紫色に変化しますので注意。
引き出しの開閉がスムーズでなくなったら、家具用の滑り材やロウを引き出しの箱の外側と、タンスの内側に塗りましょう。それでもかたい場合は、ヤスリなどで引き出しの箱の外側を削りましょう。ただし、桐をはじめ、引き出しの箱の材料は、基本的に湿度が高いと膨張して衣類などを湿気から守り、乾燥時には収縮して通気を保つようにできているので、梅雨時にこれを行うのは得策ではありません。
引き出しの底の板は、多くの場合、ホッチキスの針のようなもの(エアタッカー)で留まっています。底板が外れた場合は、板をはめ込んで、10mmまでの長さの釘を斜めに打ち込んでください。意外と難しいので、くれぐれも指を叩かない様に。

開き扉

ガラスの部分は通常、乾拭きで結構です。板(鏡板)がはめ込んである場合は、外れたり、割れたりしない程度にやってください。ガラスや板が外れたり、割れた場合は、裏側のプラジョー(プラスチックの細い材)を外し、新しいガラスや板をはめてから、もう一度、プラジョーを8~10mm程度の細い釘で打つわけですが、作るときはコンプレッサー式の機械で留めてますから、釘で普通に止めるのは相当難しいです。また、ガラスはカットガラス(4周が斜めにカットされていたりするもの)が多く、手に入れることが困難なので(しかもかなり高価)、家具屋もしくはメーカーに問い合わせるのが良いでしょう。
蝶番部分が一番壊れやすく、なおかつ対応に苦労するわけですが、壊れた場合は、家具屋かメーカーに問い合わせるのが無難です。まず、市中に同じものが出回っていることはありません。
扉の位置がズレていたり、開閉がスムーズでない場合は、スライド蝶番と呼ばれる金具の場合は調節が可能です。スライド兆番とは、本体や扉に固定するビス以外に、ちょうど可動部分に3箇所、ビスが付いているもので、それぞれ緩めると、上下方向、左右方向、もう1箇所は着脱(前後方向)、が可能なものです。やってみて試してください。

引き戸の場合

滑りが悪いときは、家具用の滑り剤やロウを溝に塗ってください。ただし、戸車が付いたものの一部は、内側からネジで戸車の位置を上下方向に動かせるようになっているので、チェックしてください。扉を閉めたときに扉と本体と側板との間に隙間ができる場合は、戸車の調整で直ります。扉は軽く持ち上げて、手前に引くと外れるものが多いですが、下に溝がないタイプは本体の真ん中ほどの場所にピンが立っていて、それで引っ掛かっているので、外すのが難しいです。メーカーにより、外し方が違うので、家具屋に相談してみるのが良いでしょう。
ガラスや鏡板のお手入れと修理は上段の「開き戸の場合」を参照。

ベッド

マットレス

たまに、敷いてある向きの裏表、上下方向を変える。こうしてやることで、そのままだと2~3年しか持たないものでも、寿命を2~4倍にできる。ただし、体系にあわせて表面構造が作られたタイプのマットは、この限りではない(向きを変えることができない)。また、布団と同じように、マットレスを立てかけることで陰干しし、通気をよくしてやること。

ウォーターベッド

メーカーによって異なるが、充填剤である水に防腐剤を入れなければならない(通常、1~3年に1回)。また、その際、水が漏れていないかのチェックをしてみる必要がある。漏れている場合は、一度、家具屋かメーカーに相談してみたほうが良い。

木部

木部については、ヘッドボード、フットボードなどは、通常、無垢板か、突板(テーブルの項参照)の構造となっているので、通常の木製品と同様に扱えばよい(テーブルの項参照)
サイドフレーム、引き出しつきのものは引き出しの前板などは、通常、突板か、プリント合板仕上げであるので、それそれテーブルの項、収納家具の項を参考にお手入れしてもらえばよい。その際、サイドフレームと、ヘッドボードやフットボードのジョイント部(ヒキドッコ金具)のネジが緩んでいることもあるので、その場合は締め直すこと。

ダブルスプリング・タイプのもの

通常、フレームの表面剤は布製であるため、ソファーの項の「布の場合」を参考にお手入れしてもらえばよい。

パイン材について

パイン材とは、マツのことであり、多くの場合、節がいくつも表面に出た材である。
多くの場合、経過年数とともに、飴色に変化するので、変色を避けたい場合は、特に直射日光は避けること。ただし、室内照明でも変色してしまう。よって、特にチェストなどの収納家具の場合、多くは天板面や引き出し前板が無垢で、側板(横の板)の表面がプリント合板であるので、経過年数とともに無垢の部分は飴色に変化し、プリント部分はほとんど変色せず、色の違いが出てしまう。しかしながら、この飴色に変化する点が、パイン材独特の良さでもある。
パイン材は、まれにヤニが出てくることがある。マツなのだから当然、樹脂成分を含んでいるからである。パイン材の家具は、パインそのものが比較的安価な材であるため、低級家具に用いられることが多く、そのため、材そのものの品質管理が低いことが多い。購入後、すぐにヤニが出た場合は、販売店に問い合わせたほうが良い。
パイン材は反り(変形)が激しい素材ですので、パイン材の家具を購入するときはあらかじめその辺りのことも考慮に入れておきましょう。ちなみに一般的な家具材料では、パイン材>ラバーウッド(ゴムの木)>タモ>オーク材(ナラ)の順に変形しやすく、軟らかく、安い、ということも覚えておくと良いでしょう。ただし、材の取り扱いの仕方にもよりますので、メーカーの良し悪しにも左右されます。

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