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どのような法則を使えば美しいインテリアと感じるか、
その5つのポイントを紹介します。

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よく「インテリアのセンス」が良い人、悪い人、などと言うことがありますが、インテリアのセンスは何も先天的なものではありません。逆に言えば今からでも磨けるものなのです。例えば、雑貨屋に入って「この雰囲気がいい感じ」とか、夜の街のイルミネーションを見て「きれい!」と思う方は、美的センスは持っているわけです。まれに天邪鬼な人というか、一般の人と違った評価をされる方がいらっしゃって、そのような人を世間では「悪趣味」な人と呼びますが、ここでは除外させていただきます。

では、「インテリアのセンス」のいい人と悪い人の違いは何でしょうか?ズバリ、自分のイメージを実現できるか出来ないかの違いだと思います。先程も申しましたとおり、インテリアの良し悪しを判断する能力は、誰しもそんなには変わらないわけです。ただ、それを実現させることが出来るか出来ないか、(もちろん金銭的な制限はあるかと思いますが、それは除外したとして)その能力に違いがあるわけです。日本語ではカタカナ語は曖昧な表現にとられがちですが、直訳では「センス=感性」といったところでしょうか。感性とは、経験や技術に裏付けられるものであり、インテリアの場合も全く同じです。一朝一夕に身に付くものではありません。ウィンドーショッピングなんかをしながら、芸術作品を見ながら、自然と身に付いてくるものなのです。

ちょっと話が難しくなってきて、悲観的になった方もいらっしゃるかもしれませんが、落ち着いて聞いてください。実際のところ、今までウィンドーショッピングこそすれ、インテリアに正面から取り組んだ人なんて、それを仕事にしてる人以外はなかなかいないと思います。実は、そういうことに時間を割く、要は経験をつんでいる人には、そうでない人と決定的な差があるのです。それは、「インテリアの法則」を見出すか否か、ということです。インテリアって、とかく個性の問題だと思われがちですが、実は法則がいろいろあるのです。その法則に従ったものこそ、真に美しく見えるインテリアなのです。この講座では以下、この法則についていくつか説明していきたいと思います。

法則1…黄金比

黄金比という言葉はほとんどの方が聞かれたことがあると思います。念のため説明させていただくと、黄金比とは、1:1.618・・・、正確には2:(√5-1)の比率のことで、人間が物を見たときに最も美しいプロポーションとなる比率のことです。身近なものに名刺の縦横の比率、大きいのもではピラミッドに使われている、由緒があり、最も基本的な比率です。基本的に誰が見ても美しいと思う比率ですから、これを取り入れることによってインテリアを美しく見せることが出来ます。この比率は、安定感のある、落ち着いた空間を作るのに適しています。同様のものにルート長方形と呼ばれるものがあり、比率が1:√2、1:√3、1:√5・・・といったように、1:√〇というような比率になります。これは身近なところでは、JIS規格のA判、B判に使われています。

法則2…シンメトリーとアンシンメトリー

シンメトリーとは「対称」、アンシンメトリーとは「非対称」のことですが、どちらが優れているというわけではありません。ただし、数学的、国語的には、対称でないものが非対称となるのですが、インテリアの場合には、非対称といえど「ある一定のバランス感覚」の上において成立します。この「ある一定のバランス感覚」が何かを説明することは難しいのですが、感覚的にはたいていの日本人はこれをよく知っています。枯山水の庭園、葛飾北斎『富嶽三十六景』などが代表的な例です。逆にシンメトリーのほうは、パルテノン神殿であるとか西洋の様式に多く、静的な安定感や荘厳さがあります。逆に言うと、アンシンメトリー(非対称)は、動的であるといえるかもしれません。

このような配置・造形における効果が得られるのは対称及び非対称のほかにもいくつかあります。まず、リズム(律動)。これは規則的な繰り返し配置で、多くは躍動感が得られます。グラデーションもリズムの一種です。次にハーモニー(調和)。種々のエレメント(要素)がうまく融合している状態を言い、シミラリティ(類似)、コントラスト(対比)の関係にある状態などがこれに当てはまります。逆に言うと、この状態が成立していないインテリアは、個々のエレメントが独自に存在し、ゴチャゴチャした空間になってしまいます。最後にドミナンス(支配性)ですが、例えば立派な柱時計を持っていてそれをお客様に見せたい場合は、それがひときわ目立つようにする手法です。

法則3…カラーコーディネート

色というものは不思議なもので、2色以上が集まるといろいろな効果があります。インテリアの基本としてはまず、(1)ベースカラー(基本色)、(2)アソートカラー(配合色)、(3)アクセントカラー(強調色)という3色を用いたプランニングが必要です。それぞれ、(1):(2):(3)=大:中:小面積となるように配し、3色を同系色にまとめるのが一番無難、もしくは(1)と(2)を同系色としたり、(2)と(3)を同系色とすると無難でしょう。

また、暖色とか寒色といった言葉をお聞きになったことがあるかと思いますが、赤、橙、黄色系統を暖色、青、青緑、青紫系統を寒色、緑、黄緑、紫、赤紫を中性色、と区分し、文字通り、例えば青色は冬には寒々しく感じます。ですから冬には大~中面積は赤系統の色が望ましいでしょう。おなじような感情効果として、赤系統の色は感情を高ぶらせ、緑系統の色は落ち着くといわれています。

法則4…高さ

インテリアの3大要素(色、造形、高さ)のひとつです。高いものほど圧迫感があり、部屋を狭く見せてしまいますが、特に収納に関してはとかく高くなってしまいがちです。では如何にして圧迫感が無いようにするかですが、方法は2つあります。1つ目は目立たないようにすること、例えば壁と同じ色にしてしまうなどです。色に関して言えば、白系統があっさりしていておすすめです。濃い色になるほど存在感が出てしまいがちです(壁や床などのベースカラーにもよりますが)。2つ目は細くて高いものにすることです。こうすれば柱と錯覚して、圧迫感がなくなります。

インテリアにおいては、こと高さについては必要悪であることが多く、なかなかうまく処理することが難しいのですが、上記のようにその他の2つの要素(色、造形)でカバーすることが出来るのです。

法則5…テイスト

良く出来た空間には、必ずテイスト、言い換えればテーマがはっきりと決まっています。インテリアは一種の芸術です。芸術作品の多くにははっきりとしたテーマ(題)があり、それが芸術を芸術たらしめているのです。ですからインテリアにおいてもテーマが決まっていないといけません。日常生活で使う部屋ほどテーマがごちゃ混ぜになりがちですが、そこが何をする部屋か最低限決まっていなければなりません。そうしないと、ただ雑然としてしまいがちだからです。その上でテイストを決めます。ここで言うテイストとは、例えば純和風であるとか、カントリー調であるとか、そういった雰囲気、演出です。

このようなテイストはいろいろなパターンがありますが、誰しもいくつか知っているはずですので、あとはそのイメージをそのまま形にしていけばいいだけです。もっとも、口で言うのは簡単ですが、実際問題としてそれが一番難しいことかもしれません。具体的な実現方法としては、まずそのテイストにあったものを揃える、そして逆にそのテイストに合わないものを排除、もしくは片付けて隠してしまう、といった手法です。テイストを全てそろえるのが難しければ、そのテイストに近づける努力をすることが大切です。先程も述べたとおり、インテリアの3大要素(色、造形、高さ)の2つでも揃えることが出来れば違和感は抑えられるでしょう。

いかがでしたか?事細かに書いていくとこれ以上に小難しい話になっていきそうなので、このあたりで留めておきますが、より詳しく、また別の角度から解説して欲しい箇所があれば掲示板へ書き込んでください。電話でのお問い合わせはご遠慮ください。

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